Amazon Q Developerのアーティファクト機能がGAに ― コンソール上で自然言語からテーブルやグラフを生成できるようになりました
AWSマネジメントコンソール内のAmazon Q Developerに、アーティファクトと呼ばれる新しいビジュアライゼーション機能が追加されました(2026年2月23日 AWS What’s New)。自然言語で質問するだけで、AWSリソースの情報をテーブルで、コストデータをグラフで可視化してくれます。
「アーティファクト」と聞くとClaude(Anthropic)のアーティファクト機能を思い浮かべる方もいると思いますが、Amazon Q DeveloperのアーティファクトはAWSのリソースやコストデータに直接アクセスできるという点で、かなり実用的な方向に振り切った機能になっています。
何ができるようになったのか
公式ドキュメントには以下のように記載されています(AWS Documentation)。
If Amazon Q determines a visual interface would be helpful, it automatically displays an artifact in a new panel next to Q chat with either a table or chart visualization.
つまり、Amazon Qが「ビジュアルで見せたほうがわかりやすい」と判断した場合、チャットパネルの横にアーティファクトパネルが自動で表示されます。
具体的には2種類のビジュアライゼーションが生成されます。
- テーブル: EC2インスタンスやS3バケットなどのリソース情報を一覧表示。各リソースにはコンソールへのディープリンクが付きます
- チャート: コスト・請求データを棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、面グラフなどで可視化
UIの変更点
今回のリリースに合わせて、コンソール上のAmazon QのUI配置も変更されています。
- Qアイコンがナビゲーションバーに移動
- チャットパネルが画面左側に配置
- アーティファクトパネルがチャットの右側に展開
以前はQのチャットパネルが右側に出ていた記憶がありますが、アーティファクトのスペースを確保するために左に寄せたのだと思います。
実際に試してみた
自分の環境で触ってみました。
リソース情報のテーブル表示
コンソールのナビバーにあるQアイコンをクリックしてチャットパネルを開き、以下のように質問してみました。
List my S3 buckets in a table

左側のチャットパネルには、Qが裏側で実行したAPIコールの過程が表示されています。
- Introspecting resources — リソース情報の収集を開始
- Retrieved S3 Bucket resources in your account — S3バケットリソースを取得
- Successfully called s3 ListBuckets API — ListBuckets APIの呼び出し成功
- Successfully called s3 GetBucketLocation API — GetBucketLocation APIの呼び出し成功
右側のアーティファクトパネルには、Bucket Name、Bucket ARN、Region、Creation Dateの4カラムでテーブルが表示されました。Bucket Nameはクリック可能なリンクになっていて、S3コンソールの該当バケットページに直接飛べます。
これは面白いですね。裏側でAWS APIを叩いてくれて、結果をきれいにテーブル化してくれるわけです。
コストデータのグラフ表示
次にコスト分析を試してみました。
Show me my monthly costs by service for the last 6 months as a chart

こちらは内部的にCost Explorer APIのGetCostAndUsageを呼び出しています。チャットパネルには以下の情報が表示されていました。
Operation: GetCostAndUsage
Time Period: 2025-09-01 through 2026-02-28 (inclusive)
Granularity: Monthly
Metrics: UnblendedCost
Filter: Excludes RECORD_TYPE Credit, Refund
Group By: SERVICE
どのAPIをどのパラメータで呼んだかが明示されるのは、結果の信頼性を確認するうえで助かります。さらに「View in Cost Explorer」というリンクも付いていて、同じ条件でCost Explorerを直接開けるようになっています。
右側のアーティファクトパネルには、サービス別のスタックバーチャートが表示されました。凡例にはAmazon Virtual Private Cloud、EC2 - Other、AWS Key Management Serviceなどのサービス名が並び、月ごとのコスト推移が一目でわかります。
さらに、チャットパネル側にはQによる分析コメントも付いていました。「September 2025が最もコストの高い月で約$201.75、主にVPCとEC2-Otherが要因」「その後94%以上コスト削減された」といった具合に、数字を拾って傾向を説明してくれます。これは単純なグラフ生成ツールではなく、分析アシスタントとして機能していると感じます。
気になるポイント
データの保存先
公式ドキュメントに以下の記載があります(AWS Documentation)。
All data associated with Amazon Q visualizations is saved in us-east-1.
ビジュアライゼーションに関連するデータは全てus-east-1に保存されるとのことです。東京リージョンのコンソールで操作していても、裏側ではバージニアにデータが送られていることになります。データレジデンシーの要件が厳しい環境では注意が必要だと思います。
料金
Amazon Q Developerには Free Tier と Pro Tier($19/ユーザー/月)がありますが、アーティファクト機能自体の料金については公式ドキュメントに明示的な記載が見当たりませんでした。Free Tierでも利用できるようですが、月あたりのリクエスト数に制限がある点は意識しておく必要があります(2026年2月23日 AWS What’s New)。
必要な権限
アーティファクト機能を使うには、IAMポリシーでAmazon Q Developerとのチャットを許可する設定が必要です。コストデータを扱う場合は、さらにCost Explorerへのアクセス権限も求められます。詳細は公式ドキュメントのコストについてのチャットを参照してください。
Claudeのアーティファクトとの比較
アーティファクトという名前が同じなので比較してみると、方向性がかなり違います。
| Amazon Q Developer アーティファクト | Claude アーティファクト | |
|---|---|---|
| データソース | AWSリソース・コストデータに直接アクセス | ユーザーが提供したデータのみ |
| 出力形式 | テーブル、各種チャート | コード、ドキュメント、SVG、Reactコンポーネントなど |
| 用途 | AWSインフラの可視化・分析 | 汎用的なコンテンツ生成 |
| リンク | リソースへのディープリンク付き | なし |
| 実行環境 | AWSコンソール内 | Claudeのチャット内 |
Amazon Q Developerのアーティファクトは「AWSインフラに特化した可視化ツール」、Claudeのアーティファクトは「汎用的なコンテンツ生成ツール」というポジションだと思います。
まとめ
Amazon Q Developerのアーティファクト機能は、「コンソールを開いて自然言語で質問するだけでリソース情報やコストが可視化できる」というシンプルな体験を提供しています。
自分が特に良いと感じたのは以下の3点です。
- APIコールの過程が透明: 裏側で何を叩いたかが見えるので、結果を信頼できます
- Cost Explorerへの直リンク: グラフの元データを確認したいときにすぐ飛べます
- 分析コメント付き: ただグラフを出すだけでなく、傾向やコスト変動の要因を説明してくれます
一方で、ビジュアライゼーションデータがus-east-1に保存される点は、環境によっては制約になると思います。
日常的にコンソールを使っている方であれば、Cost Explorerの画面を開いてフィルタを設定して…という手順を自然言語の一文で済ませられるのは、期待が持てる機能だと思います。まだ触っていない方は、コンソール左上のQアイコンから試してみてください。